権利義務取締役とは

取締役には、通常約2年、最長でも約10年の任期があります。これは創業者であっても一人しか取締役がいなくても変わりません。

任期が満了したとき又は辞任したときは取締役は退任します。しかし、取締役の全員が退任してしまうと会社の運営や事業が停滞してしまいます。

そのため、会社法では任期満了又は辞任によって取締役の数が定款や法律で定められた人数に満たなくなった場合には、後任の取締役が選任されるまでの間、取締役としての権利を有し、義務を負うと定めています。

これが「権利義務取締役」と呼ばれるものです。

会社法346条1項

役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。

権利義務取締役が発生するケース

権利義務取締役が発生するケースとして、

  1. 任期を把握しておらず、いつの間にか権利義務取締役になっていた
  2. 突然辞任することになったが後任者が見つからない
  3. 取締役の最低人数を理解していなかった

などがあげられます。

取締役の任期は登記事項ではないため、任期が満了しているかどうかは登記官にもわかりません。しかし、次のようなケースでは登記簿から明らかなため、登記を申請しても受理されません。

・非公開会社で就任から10年以上経過している取締役

・公開会社で就任から2年以上経過している取締役

登記上の注意点

辞任や解任ができない

権利義務取締役は委任によってその地位が与えられているわけではなく、法律によって規定された地位のため、辞任することはできません。また、同様の理由によって解任することもできません。

一部のみの後任者では登記できない

取締役会設置会社でA、B、C3名の取締役がいる場合に、全員が任期満了で退任したとします。後任としてDとEが選任されたとき、Cを残してABのみ退任することはできません。この場合、ABC全員が権利義務取締役になります。取締役会を構成する3名の後任者が選任されなければ退任登記をすることはできないのです。

なお、この場合でもDとEの就任登記はできます。

原因日付に注意

後任者が選任されて権利義務状態が解消され、退任登記をする場合の原因日付に注意しなければなりません。退任の日付は後任者が選任された日ではなく、当初の任期満了又は辞任の日になります。法律の規定によってその地位にあっただけで退任の原因はすでに発生していたからです。

過料を課される可能性がある

商業登記は、効力発生日から2週間以内に登記をすることが義務付けられています。そして、2週間以内に登記をしなかったときに、登記を怠っているとして100万円以下の過料の規定が会社法に存在します。

まとめ

権利義務取締役は意識していないうちに、いつの間にか発生しているケースも比較的多くみられます。

まずは自分の会社の取締役の任期や必要人数を把握しておくことが重要です。

気になることがありましたら是非ご相談ください。

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